去年、2016(平成28)年、唯一純正でCNG(圧縮天然ガス)バスを製造していたいすゞ自動車がCNGバスの製造から撤退しました。かつては、国内4社すべてが取り扱っていたCNGバス。そのCNGバスについて特集します。

CNGバスって?-What's the CNG?-


 CNGバスのCNGの意味は、Compressed Natural Gasであり、和訳すると圧縮天然ガスの意味です。ディーゼル車と違い、排気ガス中に含まれる有害物質がとても微量になります。中でも黒煙と硫黄酸化物については0%ととても環境にやさしい自動車です。しかし、初期導入コストが一般のディーゼル車よりも高く、高圧ガスを使用するため、ガスタンクにも大きな負荷がかかるため、交換をしなければ継続して使用を続けることができません。また、最近のディーゼル車は、DPFシステムや尿素SCRシステムの導入、ハイブリッドバスも安価になったため、高価なCNGバスは導入されなくなっていきました。

どこで動いているの?-Where's working?-


 CNGバスは、生産終了しましたが、現在でも各都府県で活躍しています。例を挙げますと、東京都交通局、山梨交通、名古屋市交通局、京都市交通局、大阪市交通局、高槻市交通局、三重交通、松江市交通局、広島電鉄、伊予鉄道、西日本鉄道・・・などなど多くの事業者で活躍しています。多いところで30台も保有しているところもあり、中にはフラットフィールドや協同というCNG自動車改造メーカーで改造された車もいます。

どんなクルマがいるの?-What kind of cars are there?-


 CNGバスには大型路線車、中型路線車、小型路線車・・・と数々の種類のバスがいます。その中で現在現役の一部車両をご紹介します!

いすゞ自動車 エルガ・CNG KL-LV280L1改


 三重交通が保有するエルガ・CNGです。いすゞ自動車では、type-Bといわれるフルフラットタイプ(LV834)でCNGバスをラインナップで入れていましたが、のちにtype-Aと呼ばれる現在のエルガ・ノンステップバスの祖先とも言われるLV280改をCNG車が登場しました。見た目そのものLV280とおなじですが、ルーフに載ったCNGタンクが印象的です。

日野自動車 ブルーリボンシティ・CNG KL-HU2PPEE改


 こちらは日野自動車が販売したブルーリボンシティ・CNGです。日野自動車では、HIMRから続く電気式ハイブリッドバスを製造していますが、2005(平成17)年頃まで、純正でCNGバスも製造していました。ノンステップタイプのブルーリボンシティ特有の後部デッドスペースが印象的です。

三菱ふそうトラック・バス エアロスター・CNG KL-MP37JM改


 三菱ふそうでも日野自動車と同様に電気式ハイブリッドバスとCNGバスを製造していましたが、どちらも2007(平成19)年頃に生産終了しています。三菱ふそうのCNGタンク位置はエアコンの位置の関係で中央部に位置しています。また、当時では珍しくアリソントランスミッション社製のATを使用しているため、アリソン社制のAT特有の動作音が聞こえてきます。

日産ディーゼル工業(現・UDトラックス) UA系・CNG KL-UA272KAM改


 日産ディーゼル工業もCNG車を製造していました。富士重工業(現・スバル)が架装業撤退したのちも西日本車体工業が請負、関東の事業者でも少数ながら導入しておりました。日産ディーゼル工業のCNG用エンジンは他社と比べ極めて静かであり、車内の静粛性が高いです。

日産ディーゼル工業 スペースランナーRM・CNG KK-RM252GAN改


 日産ディーゼル工業の中型路線バス、「スペースランナーRM」をCNG改造事業者の「協同」で改造したバスです。西日本車体工業の中型用車体にCNGタンクが取り付けています。車体だけでも高価であり、それにCNG改造されているので云千万もするとか・・・。とても貴重なクルマになります。
 このように現在では既に製造終了してしまった車両はいますが、まだまだ現役で活躍しているのも多くいます。この中でも絶滅危惧種のCNGバスも数々います。夏季休暇やお盆休みなどの長期休暇にこのようなバスも見てみてはいかがでしょうか。(2017年5月13日 名神ロード編集)
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